クワドラングル志茂

クワドラングル志茂について

Quadrangle~クワドラングル

クワドラングル(建物に囲まれた中庭)という名称が示すように、寮室は中庭を囲んで置かれています。
中庭の中央には、シンボルとして未来に開かれた可能性を示す「Relation-Future(関係-未来)2156年」が植樹されています。

Relation-Future(関係-未来)2156年

森や林などから樹木が移植されてくることがある。
樹木は、森や林など自然の中で生育し、成長していくのが最もふさわしいことのように思われる。それらの樹木が半自然的な人工の環境に植樹される目的は、環境整備のためであり、生活や職を営み、あるいは様々な方法でその空間を利用する人間の為であって、けっして植物の為などではない。
簡単には移動できない樹木が、人間によって移動させられる。森や林といった自然の環境から、人工の環境で生育することになった樹木は、その時から、その場自体の繁栄とか凋落といったその場の運命と、なんらかの関係をともにすることになる。あるいは、その場の未来と密接な関係を保つことになると言いかえても良い。
人間の寿命よりはるかに長寿な樹木によって、不確実な未来との関係を、現在の時空間で顕在化させようと試みたのが[関係-未来]である。
[関係-未来]の作品構造は、移植された生木にある直径の円周を保った銅の輪がはめられる。円周の長さは、その樹木の成長を推定して決められたものである。それから、その銅の円周まで樹木が生長するであろう<未来の年>を想像し、決定するのである。
[関係-未来]にとって、銅の輪の円周が推定された年と樹木の実際の成長が合っていたかどうかは、実は重要ではない。したがって未来を表現しようとした作品ではないのである。むしろ、有限である私(我々)が、有限であるがゆえに生きることが多分できない未来に、今、なんらかの関係を持ちたい願望から創造されたのである。
それは、現時点のままで実体の定かではないはるかなる未来と関係したいのである。

河口 龍夫  Tatsuo Kawaguchi  関係-未来